大学生が勘違いしやすいデータサイエンティスト職の現実6選
データサイエンティストは「21世紀の最もセクシーな仕事」として注目されており、高い年収や最先端技術に触れるチャンスがあるといった理由で多くの大学生が憧れを抱いています。
しかし、実際に現場で働くと、理想と現実にはギャップがあることに気づくことが多いです。
今回は、大学生がデータサイエンティストに対して抱きがちな勘違いや、その現実について解説します。
勘違い1:データサイエンティストは主に機械学習モデルの開発を行う
多くの大学生は、「データサイエンティストは最先端の機械学習モデルを構築し、複雑なアルゴリズムを駆使して問題を解決する」と考えがちです。
大学の授業やコンペティションなどで学ぶ内容が機械学習やAIモデルの開発であることが多いからでしょう。
現実:データの前処理とクリーニングが大半を占める
実際のデータサイエンティストの仕事では、機械学習モデルの構築や高度なアルゴリズムの開発は業務の一部に過ぎません。
業務の70~80%はデータのクリーニングや整形、欠損値の補完、外れ値の処理といった「前処理」に費やされます。
データが整わなければどんなに優れたモデルを構築しても意味がないため、この基礎作業が非常に重要です。
また、データサイエンティストは、ビジネスに実用的なデータセットを作成するためにデータエンジニアリングスキルを求められることも多く、単に「アルゴリズムを組むだけの仕事」ではありません。
勘違い2:データサイエンティストは分析結果を出すだけでOK
「データサイエンティストは、データを解析して結果を出すことが主な仕事であり、ビジネスの意思決定は他の部署が行う」と考えている大学生も少なくありません。
現実:分析結果をわかりやすく伝え、ビジネスインパクトを生む必要がある
データサイエンティストは、単に分析結果を出すだけでなく、その結果をもとにビジネスの意思決定をサポートする役割も担います。
分析結果を基にした提案が企業の利益にどうつながるかを示さなければならないため、ビジネス視点での洞察力やコミュニケーション力が求められます。
また、結果を経営層や他部署に伝える際には、技術的な用語を噛み砕き、グラフや可視化ツールを使って視覚的に伝えるスキルも重要です。
このため、データサイエンティストにはデータのストーリーテリング能力も求められ、プレゼンテーションスキルが必要になります。
データサイエンティストに必要なストーリーテリングについての記事はこちら
勘違い3:最先端の技術に常に触れられる
大学生の多くは、データサイエンティストの仕事は常に最新の技術やアルゴリズムを駆使するものと考えがちです。
ディープラーニングや生成AI、強化学習など、最先端技術を活用するイメージを抱きやすいでしょう。
現実:実務では実用的かつ安定した手法が重視される
実務では、モデルの複雑さや新規性よりも、安定性や実装後のメンテナンス性が重視されます。
例えば、ディープラーニングのような高度な手法を採用しても、データ量が限られていたり、運用環境に適さなかったりすることがあります。
多くの場合、シンプルな線形回帰や決定木といった古典的な手法が使われることも少なくありません。これらの手法は計算負荷が低く、運用コストも抑えられるためです。
現場では「過度に複雑なモデル」よりも「現場で実装可能なモデル」の方が価値があるとされ、最新技術の導入には慎重な判断が求められます。
勘違い4:自由にデータを使って分析できる
データサイエンティストの仕事には、企業の膨大なデータに自由にアクセスし、好きなように分析できる自由があると想像する人が多いかもしれません。
現実:データにはアクセス制限があり、データプライバシーや倫理に厳しい制約がある
企業のデータは資産であり、特に顧客情報や個人データを含む場合、データプライバシーやセキュリティに関する厳しい規制があります。
たとえば、GDPR(一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア消費者プライバシー法)といった法規制があるため、データの利用には多くの制約や承認プロセスが必要です。
また、アクセス権が限られたデータや制約付きのデータのみが提供されることも多く、分析内容も法令や倫理基準に沿って行う必要があります。企業や顧客の利益を守るための厳しいデータ管理が求められるため、自由度が少ないケースも多いです。
勘違い5:データサイエンティストの業務は個人で完結できる
データサイエンティストは、高度な技術スキルを持ち一人で分析を完了させる専門家であるため、チームでの協力よりも独立して仕事ができると考える大学生もいます。
現実:データエンジニアやビジネスアナリストなど、チームで連携することが求められる
データサイエンティストの仕事は、データエンジニアやビジネスアナリスト、プロジェクトマネージャーといった他部門の専門家と協力して進めることが一般的です。
データを扱いやすい形に加工するにはデータエンジニアが必要ですし、ビジネスニーズを理解して目的に合った分析をするためには、ビジネスアナリストやプロジェクト担当者との連携が欠かせません。
また、プロジェクトによっては、エンジニアチームやマーケティングチームとの連携も発生するため、チームワークやコミュニケーション能力が非常に重要です。独立して分析作業を行うだけでなく、他部門との連携が成功の鍵を握ることも多くあります。
勘違い6:データサイエンティストは高給で安定している
「データサイエンティストは高収入で安定した職種」という印象を持つ大学生も少なくありません。確かに高い技術スキルが求められるため、他の職種に比べて給与水準が高いことは事実です。
現実:成果が求められるプレッシャーが大きく、職務内容も変化が激しい
データサイエンティストは、ビジネスに直結する成果を求められることが多く、成果を上げなければ評価が低くなるプレッシャーがあります。特に、データ分析が実際の売上向上や業務効率化に繋がらないと、プロジェクトが中断される場合もあります。
さらに、データサイエンスは技術進化のスピードが速く、新しい知識や技術を常にキャッチアップすることが求められます。こうした学習と成果の両立を求められるため、安定しているとは言い難い職種ともいえます。
まとめ
データサイエンティスト職には、データ分析やアルゴリズムの開発といった「かっこいい」イメージがある一方で、現実には地道な前処理やビジネス視点での分析、厳しいデータ管理といった「縁の下の力持ち」的な作業が大部分を占めます。
また、チームとの連携やプレゼンテーション能力、ビジネスに直結する成果が求められるなど、多くの大学生が想像する「データサイエンティスト像」とは異なる現実もあります。
データサイエンティスト職を目指す際には、こうした実情を理解し業務に必要なスキルや心構えを身につけておくことが重要です。この職業の現実をしっかりと認識した上で、適応力や学び続ける意欲を持ってキャリアを積み重ねていきましょう。
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