2023年版:総務省が推進するデータガバナンスの変革とは?わかりやすく解説します

2023年版:総務省が推進するデータガバナンスの変革とは?わかりやすく解説します

データガバナンスとは、データの効果的かつ適正な利活用に向けたルールや体制、仕組みなどの総称です。データガバナンスの推進は、デジタル化の加速に伴う社会課題の解決やイノベーションの創出に貢献するとともに、プライバシー保護やセキュリティ確保などの重要な価値も守ることができます。

総務省は、包括的データ戦略やデータガバナンスガイドブックなどを通じて、データガバナンスの推進に取り組んでいます。これらの取組みは、国際的な動向や社会のニーズを踏まえたもので、データの利活用に関する戦略・政策、組織、ルール、連携基盤などの7つの階層における課題と方策を示しています。

包括的データ戦略とは

包括的データ戦略とは、2021年6月に閣議決定された、データの適正な利活用の推進に向けた政府の基本的な方針です。データは、「智恵・価値・競争力の源泉であるとともに、課題先進国である日本の社会課題を解決する切り札」と位置付けられており、データの流通や活用を促進することで、デジタル経済の発展や社会の変革に寄与することが期待されています。

包括的データ戦略では、データの利活用に関する戦略・政策、組織、ルール、連携基盤などの7つの階層における課題と方策を取りまとめています。具体的には、以下のような内容が示されています。

  • 戦略・政策:データの利活用によるイノベーションや社会課題解決のための優先分野や目標を設定し、データの流通や活用を促進するための施策を展開する。
  • 組織:データの利活用に関する政策の立案や実施を統括するデジタル庁を設置し、データの利活用に関する統一的なガバナンス体制を構築する。
  • ルール:データの利活用に関する法制度やガイドラインを整備し、データの流通や活用を円滑にするとともに、プライバシー保護やセキュリティ確保などの重要な価値を守る。
  • 連携基盤:データの流通や活用を支えるインフラやプラットフォームを整備し、データの品質や信頼性を確保するとともに、データの相互運用性や互換性を高める。

包括的データ戦略は、国際的な動向や社会のニーズに応じて、定期的に見直しや更新を行っていく予定です。

データガバナンスガイドブックとは

データガバナンスガイドブックとは、経済産業省と総務省が共同で策定した、企業がデータガバナンスの構築のために取り組むべきことを示したガイドブックです。データガバナンスとは、プライバシー問題の適切なリスク管理と信頼の確保による企業価値の向上に向けて、経営者が積極的にプライバシー問題への取組にコミットし、組織全体でプライバシー問題に取り組むための体制を構築し、それを機能させることをいいます。

データガバナンスガイドブックでは、データガバナンスの構築に向けた5つの要件と、それぞれに対応する重要項目や実践例を示しています。具体的には、以下のような内容が示されています。

要件1:経営者のコミットメント

  • 重要項目:経営者がプライバシー問題への取組に対する方針や目標を明確にし、組織全体に浸透させる。
  • 実践例:経営者がプライバシー問題への取組に関するメッセージを発信し、プライバシーに関する教育や研修を実施する。

要件2:組織体制の整備

  • 重要項目:プライバシー問題に関する責任者や部署を設置し、組織全体で連携してプライバシー問題に対処する。
  • 実践例:プライバシー問題に関する責任者や部署の役割や権限を明確にし、プライバシー問題に関する報告や連絡の仕組みを構築する。

要件3:リスク分析と対策の実施

  • 重要項目:データの取得や利用に伴うプライバシー問題のリスクを分析し、リスクに応じた対策を実施する。
  • 実践例:データの取得や利用に関するプロセスや目的を明確にし、プライバシー影響評価やリスクアセスメントを実施する。

要件4:利用者とのコミュニケーション

  • 重要項目:データの取得や利用に関する情報を利用者に適切に開示し、利用者の同意や選択肢を尊重する。
  • 実践例:プライバシーポリシーや利用規約などを明確にし、利用者に容易にアクセスできるようにする。データの取得や利用に関する利用者の同意を得る際には、同意の意思表示が明確であることを確認する。利用者にデータの取得や利用に関する選択肢や権利を説明し、それらを行使できる仕組みを提供する。利用者からの問い合わせや苦情に対して、迅速かつ適切に対応する。

要件5:監査と改善

  • 重要項目:データガバナンスの構築や運用に関する状況を定期的に監査し、問題点や改善点を把握し、改善策を実施する。
  • 実践例:データガバナンスに関する指標や評価基準を設定し、内部監査や外部監査を実施し、改善計画を策定し、実行する。

データガバナンスガイドブックは、企業がデータガバナンスの構築に向けて参考にできるツールとして提供されており、企業の実情や目的に応じて柔軟に活用することができます。

社会資本分野におけるデータガバナンスガイドとは

社会資本分野におけるデータガバナンスガイドとは、総務省が策定した、社会資本分野におけるデータの利活用に向けたデータガバナンスの構築のためのガイドです。社会資本分野とは、道路や橋、トンネル、ダム、空港、港湾、鉄道、上下水道などのインフラや公共施設を指し、これらの分野におけるデータの利活用は、社会資本の維持管理や更新、効率化や最適化、災害対策や安全確保などに貢献するとともに、新たなサービスやビジネスの創出にもつながることが期待されています。

社会資本分野におけるデータガバナンスガイドでは、データの利活用に関する戦略・政策、組織、ルール、連携基盤などの7つの階層における課題と方策を取りまとめています。具体的には、以下のような内容が示されています。

  • 戦略・政策:社会資本分野におけるデータの利活用による目標や方向性を設定し、データの流通や活用を促進するための施策を展開する。
  • 組織:社会資本分野におけるデータの利活用に関する責任者や部署を設置し、関係者間で連携してデータの利活用に対処する。
  • ルール:社会資本分野におけるデータの利活用に関する法制度やガイドラインを整備し、データの流通や活用を円滑にするとともに、プライバシー保護やセキュリティ確保などの重要な価値を守る。
  • 連携基盤:社会資本分野におけるデータの流通や活用を支えるインフラやプラットフォームを整備し、データの品質や信頼性を確保するとともに、データの相互運用性や互換性を高める。

社会資本分野におけるデータガバナンスガイドは、社会資本分野におけるデータの利活用に関心のある事業者や行政機関などが参考にできるツールとして提供されており、実際の事例やチェックリストなども掲載されています。

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まとめ

この記事では、2023年版として更新された総務省のデータガバナンスに関する取組みについて、包括的データ戦略、データガバナンスガイドブック、社会資本分野におけるデータガバナンスガイドの3つの観点から紹介しました。データガバナンスの推進は、データの効果的かつ適正な利活用に向けたルールや体制、仕組みなどの総称であり、デジタル化の加速に伴う社会課題の解決やイノベーションの創出に貢献するとともに、プライバシー保護やセキュリティ確保などの重要な価値も守ることができます。総務省のデータガバナンスに関する取組みは、国際的な動向や社会のニーズを踏まえたもので、企業や行政機関などがデータガバナンスの構築に向けて参考にできるツールとして提供されています。データガバナンスに関心のある方は、ぜひこれらの取組みをチェックしてみてください。

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