データドリブン経営で顧客満足度や売上を向上させた3つの事例とそのポイント
データドリブン経営とは、ビジネス上の意思決定をデータに基づいて行うことを意味しています。従来であれば「経験」や「勘」に頼って、意思決定をしている企業が多くありましたが、顧客ニーズが多様化した現代においては、効果的ではなくなってきたのです。
データドリブン経営では、データは主にマーケティング活動に用いられますが、データドリブンな経営を目指すためには、トップダウンで上層部から会社全体、部署の垣根を超えてデータ活用の意識を浸透させていくことが重要です。
データドリブン経営の目的は、主に多様化した顧客ニーズに対応することです。上記でも触れたように、主観による判断ではなく、客観的なデータに基づいて決定することが大切となったのです。
また、現代では技術が発展したことで、データドリブン経営を実施するために必要な優秀なツールが多く開発され、それぞれの目的や予算に合うものを見つけやすくなりました。
この記事では、データドリブン経営を行い、事業を大きく成長させることに成功した事例を3つ紹介します。それぞれの事例から、データドリブン経営のメリットやポイントを学びましょう。
データドリブンって何?その目的やプロセス、実現するためのツールについて解説した記事はこちら
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NTTドコモ:顧客の特性に合わせた施策で、3年で取扱高8,100億円を達成
日本最大手の通信事業者である株式会社NTTドコモは、データドリブンな環境を構築し、わずか3年で取扱高8,100億円、ユーザー数3,500万人を達成しました。
同社のウォレットビジネス部は大きくモバイル決済事業とOMO事業の2つの事業を展開しています。モバイル決済事業ではd払いとGoogle Play等のキャリア課金を、OMOではd払いの加盟店に対してマーケティングやDXソリューションを提供しています。
同社が提供するdポイントは2015年、d払いは2018年にサービスを開始しました。dポイントはサービス開始以来会員数は順調に伸びており、2021年9月末には8,554万人に達しました。現在では日本最大規模のポイントプログラムとなっています。
d払いはサービス開始当初は、バーコード表示で店舗決済をするというシンプルな仕組みでした。その後2019年に、チャージや送金が行えるウォレット機能を装備。さらに2020年にはメルペイと戦略的提携を結び、加盟店がクーポン配布などの施策を容易に行えるスーパー促進プログラムを開始しました。その結果d払いのユーザー数は昨年比で130%のアップに成功しました。
同社はサービス開始当初、dポイントクラブを母体として、その会員がd払いを使いはじめてどの程度利用者が増えるのか、MAU(Monthly Active User)をKPIとして定めていました。最近ではノーススターメトリックを設定し、決済回数を把握し、企画を立て、拡大に向けて取り組んでいます。
ツールを導入してプロダクト改善のサイクルを高速で回すことがチーム内で定着した結果、オペレーションするメンバーの意識や仕事のやり方が改善され、今年度からさらにパフォーマンスを向上させることに成功しました。
特にメルペイとの戦略的提携によるスーパー促進プログラムでは、加盟店がdポイント、d払いを使用したことがある顧客情報をデータとして貯め、再来店を促進するメッセージを送ったり、クーポンを配布したりすることできるようになりました。加盟店は顧客をセグメント分けし、顧客の特性に合わせた施策を打つことが可能となったのです。
この事例からわかるデータドリブン経営のメリットやポイントは以下の通りです。
- 顧客ニーズや市場動向に応じて柔軟にサービス内容や機能を変更することができる
- KPIやノーススターメトリックなどの指標を設定し、データ分析ツールなどを用いて効果測定や改善策の検討を行うことができる
- 顧客データや加盟店データなどの貴重な資産を活用し、顧客満足度やロイヤルティの向上につなげることができる
Square:データのサイロ化を解消し、社員各々がデータを活用できる環境を構築
アメリカ、サンフランシスコに本社を構える、モバイル決済企業であるSquare(スクエア)は、データドリブン経営を目指して、データのサイロ化を解消し、社員各々がデータを活用できる環境を構築しました。
同社は2009年に創業し、スマートフォンやタブレットに差し込むだけでクレジットカード決済ができる小型のカードリーダーを開発しました。その後、オンライン決済やPOSシステムなどのサービスも展開し、現在では世界中で数百万の事業者が利用しています。
同社はデータドリブン経営を実現するために、以下の3つのステップを踏みました。
- データの収集と整理:
同社は様々なデータソースからデータを収集し、一元的に管理するために、ビッグデータプラットフォームであるHadoopやSparkなどの技術を導入しました。また、データの品質や信頼性を高めるために、データガバナンスやデータカタログなどの仕組みも整備しました。 - データの分析と可視化:
同社はデータ分析ツールであるLookerやTableauなどを用いて、データを分析し、ダッシュボードやレポートなどに可視化しました。これにより、社員は自分たちが必要とするデータにアクセスし、インサイトを得ることができるようになりました。 - データの活用と実行:
同社はデータ分析の結果をもとに、ビジネス上の課題や機会を特定し、施策や改善策を立案し、実行しました。また、データドリブンな文化を醸成するために、社内で定期的にデータ分析の成果やベストプラクティスを共有するイベントやワークショップなども開催しました。
この事例からわかるデータドリブン経営のメリットやポイントは以下の通りです。
- データのサイロ化を解消し、全社的にデータを共有することができる
- 最新かつ正確なデータに基づいてビジネス上の判断や行動ができる
- データ分析のスキルやツールを社員に提供し、自律的にデータを活用できる環境を構築する
JTB:データドリブンを行う戦略組織を構築し、コンバージョン率45%向上
日本最大手の旅行会社である株式会社JTBは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で旅行需要が大幅に減少したことを受けて、データドリブンを行う戦略組織を構築し、コンバージョン率を45%向上させました。
同社は2020年4月に、データドリブンマーケティングを推進するための組織である「デジタルマーケティング本部」を設置しました。この組織は、データ分析やCRM、デジタル広告などの専門チームから構成され、旅行商品の企画や販売に関わる部署と連携して、顧客のニーズに応える施策を実施しています。
同社はデータドリブンマーケティングを行うために、以下の3つのステップを踏みました。
- データの収集と統合:
同社は自社のウェブサイトやアプリなどから顧客の行動データや属性データを収集し、外部の市場データや競合データなどと統合しました。これにより、顧客の旅行嗜好や購買意欲などを把握することができるようになりました。 - データの分析と予測:
同社はAIや機械学習などの技術を用いて、データを分析し、顧客の旅行需要や購買確率などを予測しました。これにより、顧客に最適な旅行商品や価格設定などを決定することができるようになりました。 - データの活用と最適化:
同社はデータ分析や予測の結果をもとに、顧客にパーソナライズされたメールや広告などのコミュニケーションを送りました。また、A/Bテストやマルチアームドバンディットなどの手法を用いて、施策の効果を測定し、最適化しました。
この事例からわかるデータドリブン経営のメリットやポイントは以下の通りです。
- 市場環境や顧客ニーズが変化する中でも、迅速かつ適切に対応することができる
- 顧客にパーソナライズされた価値提供を行うことができる
- 施策の効果を定量的に評価し、改善することができる
まとめ
この記事では、データドリブン経営を行い、事業を大きく成長させることに成功したNTTドコモ、Square、JTBの事例を紹介し、それぞれの事例からデータドリブン経営のメリットやポイントを学びました。
データドリブン経営は、ビジネス上の意思決定をデータに基づいて行うことであり、多様化した顧客ニーズに対応するために必要なことです。データドリブン経営を実現するためには、以下の3つのステップが必要です。
- データの収集と整理:
様々なデータソースからデータを収集し、一元的に管理し、品質や信頼性を確保します。 - データの分析と可視化:
データ分析ツールやAIなどの技術を用いて、データを分析し、インサイトや予測を得ます。また、ダッシュボードやレポートなどにデータを可視化し、社員に共有します。 - データの活用と実行:
データ分析や予測の結果をもとに、ビジネス上の課題や機会を特定し、施策や改善策を立案し、実行します。また、施策の効果を測定し、最適化します。
以上が、データドリブン経営の基本的な流れです。データドリブン経営は、ビジネスの競争力や成長力を高めるために必要なことです。ぜひ参考にしてみてください👍
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