大学生から身につけたい!データサイエンスのための「ストーリーテリング」とは?

大学生から身につけたい!データサイエンスのための「ストーリーテリング」とは?

データサイエンティストには、データを読み解くだけでなく、その結果をわかりやすく伝えるスキルが必要です。分析結果が正確であっても、相手に伝わらなければデータの価値が活かされません。

そこで重要になるのが「データのストーリーテリング」です。

ストーリーテリングのスキルを身につければ、データから得られた知見を人に伝えやすくなり、相手の心に残るプレゼンテーションが可能になります。

この記事では、大学生がデータサイエンティストを目指すうえで、早いうちから身につけておきたいデータサイエンスのためのストーリーテリングスキルについて解説します。

ストーリーテリングがデータサイエンティストに必要な理由

データのストーリーテリングとは、分析結果を一連の「物語」として組み立て、わかりやすく伝える技術です。

ストーリーテリングが重要な3つの理由

共感や納得を引き出す:物語のようにストーリー立てて話すことで、相手がデータを自分ごととして理解しやすくなり、共感や納得が得られます。

データの意図を明確にする:ただ数値やグラフを提示するだけでは、相手にとって何が重要なのかがわかりにくくなります。ストーリーテリングによって、データの意味や背景を伝えやすくなります。

意思決定に役立つ情報提供:相手が意思決定をする際に、必要な情報が明確に伝わっていれば、データサイエンティストの提案をビジネスに活かしてもらいやすくなります。

ストーリーテリングのための基本フレームワーク

データのストーリーテリングでは、「わかりやすさ」「流れ」「共感」を意識しながら情報を整理します。以下のようなフレームワークを使ってデータを伝えると、説得力のあるプレゼンテーションが可能になります。

1. 現状の提示(現状)

最初に「現状」を明確にし、そのデータがどのような問題に取り組んでいるかを示します。これによって、相手は「なぜこの分析が重要なのか」を理解しやすくなります。

例:「現在、店舗の売上が前年に比べて10%減少しています。この要因を特定し、改善策を見つけるために分析を行いました。」

2. 問題の定義(課題)

次に、データを分析して見つけた課題を提示します。このステップでは、相手にとって具体的に「何が問題なのか」を理解してもらうことが目的です。

例:「データを分析した結果、売上の減少は特定の地域で顧客数が減少したことが要因と判明しました。」

3. インサイトの提供(発見)

分析によって得られた重要なインサイトや発見を伝えます。インサイトをわかりやすく、かつ、データで証明された形で提示することが大切です。

例:「地域ごとの売上を分析したところ、新規顧客数が5%減少しており、特に20代の若年層が減少しています。」

4. 解決策の提示(提案)

分析結果をもとに、どのような解決策や施策が有効かを提案します。具体的で実現可能な提案にすることで、相手に対する説得力が高まります。

例:「20代の新規顧客を再獲得するために、SNSキャンペーンを強化し、地域限定のプロモーションを行うことを提案します。」

魅力的なストーリーを作るための技術

ストーリーテリングのフレームワークに沿って内容を構成するだけでなく、魅力的なストーリーを作るために、以下の技術を活用しましょう。

1. データを視覚化してわかりやすく伝える

データは、図やグラフを活用することで直感的に理解しやすくなります。相手に伝えたいポイントが一目でわかるように、グラフや図表を用いて視覚的に表現しましょう。

折れ線グラフ:売上の変動や時間の経過に伴うトレンドを示すのに適しています。

棒グラフ:地域や属性ごとの数値を比較する際に便利です。

ヒートマップ:データの濃淡で傾向を視覚化できるため、注目すべき部分がわかりやすくなります。

2. 比喩や例えを活用する

データの内容を身近な事例や比喩を用いて説明することで、相手にとっての理解が深まります。

例:「店舗の売上が減少しているのは、バケツの底に小さな穴が開いているようなもので、新しい顧客が入ってきてもすぐに抜けてしまっている状態です。」

3. インパクトのあるエピソードを交える

データに基づいたエピソードや具体例を交えることで、より印象的に伝えることができます。データがどのようにして集められたのか、どのような苦労があったのかなどを伝えると、ストーリーに臨場感が生まれます。

例:「このデータは、半年にわたる顧客インタビューから得られたもので、特に20代のユーザーは価格よりもサービスの質を重視していることがわかりました。」

4. 主張と証拠のバランスを取る

データ分析の結果として、自分の主張や提案に対して、データという「証拠」を示すことが重要です。例えば、「この施策は効果的です」という主張には、「過去の事例で、同様の施策によって売上が20%向上しました」といったデータで裏付けをします。

データストーリーテリングのための練習方法

データストーリーテリングは一朝一夕に身につくものではありません。実際にトライアル&エラーを繰り返すことで、相手に伝わる技術が養われます。

1. プレゼン練習とフィードバック

大学の授業や研究発表の場で、データを使ったプレゼンテーションを積極的に行いましょう。そして、友人や教授からフィードバックをもらい、どの部分がわかりやすく、どの部分が理解しにくかったかを確認します。

2. オンラインのデータビジュアライゼーションコンテストに参加

KaggleやTableau Publicなどで開催されているデータビジュアライゼーションコンテストに参加し、他の参加者がどのようにデータを視覚化し、ストーリーとして伝えているかを学ぶのも効果的です。自分が行った分析を簡潔でわかりやすく表現する練習にもなります。

3. 他の人のストーリーテリングを観察する

TED Talkやデータサイエンスのカンファレンス発表を視聴し、優れたストーリーテリングの例から学びましょう。特に、データをどのように伝え、どのような流れでプレゼンを組み立てているのかを分析することが役立ちます。

まとめ

以上、データサイエンスのストーリーテリング技術を学ぶことは、分析結果を「伝わる」形で提供し、意思決定に役立ててもらうために不可欠な能力であるということを紹介させていただきました。

データをただの数値として扱うのではなく、そのデータが語るストーリーを理解し、相手に響く形で伝えるスキルを大学生のうちから鍛えておくことで、データサイエンティストとしての価値が大きく高まります。

データを通じて、相手にとって意義のある「物語」を伝えられるよう、ぜひストーリーテリングの技術を意識的に磨いていきましょう。

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