時代を超えるコードの進化: プログラミング言語の歴史を徹底解説

時代を超えるコードの進化: プログラミング言語の歴史を徹底解説

プログラミング言語とは、コンピュータに命令を与えるための人間が理解しやすい記号や文法で構成された言語です。プログラミング言語は、コンピュータの発展とともに進化してきました。現在では、さまざまな目的や特徴を持つ多種多様なプログラミング言語が存在します。この記事では、プログラミング言語の歴史を時代ごとに紹介します。

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1940年代:機械語とアセンブリ言語

1940年代は、第二次世界大戦の影響でコンピュータの研究が進みました。この時代には、最初のプログラミング言語として 機械語 が使われていました。機械語とは、コンピュータが直接理解できる0と1の二進数で表現された言語です。しかし、機械語は人間にとって非常に読み書きしにくい言語でした。そこで、機械語を人間が理解しやすい記号や単語に置き換えた アセンブリ言語 が登場しました。アセンブリ言語は、 アセンブラ と呼ばれるプログラムによって機械語に変換されます。アセンブリ言語は、機械語よりも可読性が高まりましたが、まだ低水準な言語であり、コンピュータの種類や仕様によって異なるため、汎用性や移植性に欠けていました。

1950年代:高水準言語の登場

1950年代に入ると、コンピュータの性能が向上し、より複雑な処理を行う必要が出てきました。そこで、人間の自然言語に近い記述が可能であり、コンピュータの種類や仕様に依存しない 高水準言語 が開発されました。高水準言語は、 コンパイラ や インタプリタ と呼ばれるプログラムによって機械語に変換されます。高水準言語は、低水準言語よりも効率的かつ効果的なプログラミングを可能にしました。

1950年代に登場した高水準言語の代表例は以下の通りです。

  • FORTRAN :1954年にIBMのジョン・バッカスらによって開発された世界初の高水準言語です。科学技術計算に適した手続き型プログラミング言語であり、現在でもスーパーコンピュータなどで使われています。
  • ALGOL :1958年に欧米の研究者らによって開発された高水準言語です。FORTRANよりも構造化プログラミングに適した言語であり、後に開発される多くの言語に影響を与えました。
  • COBOL :1959年に米国の委員会によって開発された高水準言語です。事務処理に適した言語であり、英語に近い文法を持ちます。現在でも金融や行政などで広く使われています。

1960年代:プログラミングパラダイムの多様化

1960年代になると、高水準言語はさらに多様化しました。この時代には、手続き型プログラミングだけでなく、 関数型プログラミング オブジェクト指向プログラミングといった異なる プログラミングパラダイム が登場しました。プログラミングパラダイムとは、プログラムの設計や記述の方法論や思想のことです。プログラミングパラダイムは、プログラミング言語の特徴や目的によって異なります。

1960年代に登場したプログラミング言語の代表例は以下の通りです。

  • LISP :1958年にジョン・マッカーシーらによって開発された高水準言語です。関数型プログラミングの代表的な言語であり、人工知能やシンボル処理に適した言語です。
  • PL/I :1964年にIBMによって開発された高水準言語です。FORTRANやCOBOLの長所を取り入れた汎用言語であり、科学技術計算や事務処理などに使われました。
  • BASIC :1964年にジョン・ケメニーらによって開発された高水準言語です。初心者向けの教育用言語として設計された言語であり、パソコンブームで広く普及しました。
  • Pascal :1970年にニクラウス・ヴィルトによって開発された高水準言語です。ALGOLを基にした構造化プログラミングの教育用言語として設計された言語であり、後に開発される多くの言語に影響を与えました。
  • C :1972年にデニス・リッチーらによって開発された高水準言語です。B言語を基にした汎用言語であり、システム開発やアプリケーション開発などに広く使われています。
  • Smalltalk :1972年にアラン・ケイらによって開発された高水準言語です。オブジェクト指向プログラミングの先駆的な言語であり、オブジェクト指向という用語を初めて定義した言語です。

1970年代:オブジェクト指向とスクリプト

1970年代は、オブジェクト指向プログラミングが注目される時代でした。オブジェクト指向プログラミングとは、データと処理をひとまとまりにした オブジェクト を基本単位として扱うプログラミングパラダイムです。オブジェクト指向プログラミングは、プログラムの再利用性や拡張性を高めることができます。

1970年代に登場したオブジェクト指向プログラミング言語の代表例は以下の通りです。

  • C++ :1983年にビャーネ・ストロヴストルップによって開発された高水準言語です。C言語にオブジェクト指向を導入した言語であり、システム開発やアプリケーション開発などに広く使われています。
  • Objective-C :1983年にブラッド・コックスらによって開発された高水準言語です。Smalltalkをベースにした言語であり、C言語の上位互換を持つオブジェクト指向の言語です。後にNeXTやmacOSの公式言語として使われるようになりました。
  • Perl :1987年にラリー・ウォールによって開発された高水準言語です。オープンソースのスクリプト言語であり、さまざまなライブラリが用意されていることで実用性が高い言語です。1つの処理をするのにいくつもの記述方法を許容する多様性があるのが特徴です。

1970年代は、スクリプト言語も登場する時代でした。スクリプト言語とは、コンパイルせずにインタプリタで直接実行できる高水準言語です。スクリプト言語は、コンパイルする必要がないため、開発速度や柔軟性が高いことが利点です。

1970年代に登場したスクリプト言語の代表例は以下の通りです。

  • AWK :1977年にアルフレッド・エイホらによって開発された高水準言語です。テキスト処理やレポート生成などに適した言語であり、UNIX系のシステムで広く使われています。
  • Tcl :1988年にジョン・オースターハウトによって開発された高水準言語です。ツールコマンド言語(Tool Command Language)の略であり、GUIやネットワークなどのアプリケーション開発に適した言語です。
  • Lua :1993年にロベルト・イエルスらによって開発された高水準言語です。組み込み用途や拡張用途に適した軽量な言語であり、ゲーム開発などで使われています。

1980年代:Webとオープンソース

1980年代は、Webとオープンソースが台頭する時代でした。Webとは、インターネット上で文書や画像などの情報を提供するシステムです。Webは、1991年にティム・バーナーズ=リーによって発明されました。Webは、 HTML というマークアップ言語で文書を記述し、 HTTP というプロトコルで通信し、 URL という識別子で文書を指定します。Webは、情報の共有や検索を容易にし、インターネットの普及に大きく貢献しました。

1980年代に登場したWeb関連のプログラミング言語の代表例は以下の通りです。

  • PHP :1995年にラスムス・ラードフによって開発された高水準言語です。オープンソースのスクリプト言語であり、Webサーバ上で動的なWebページを生成することができる言語です。現在でも多くのWebサイトで使われています。
  • JavaScript :1995年にブレンダン・アイクによって開発された高水準言語です。オープンソースのスクリプト言語であり、Webブラウザ上で動的なWebページを生成することができる言語です。現在では、Webサーバやデスクトップアプリケーションなどでも使われています。
  • Java :1995年にサン・マイクロシステムズによって開発された高水準言語です。オブジェクト指向の汎用言語であり、仮想マシン上で動作することで、さまざまなプラットフォームに対応することができる言語です。現在では、Webアプリケーションやモバイルアプリケーションなどでも使われています。

オープンソースとは、ソフトウェアのソースコードを公開し、自由に利用や改変や再配布ができることを意味します。オープンソースは、ソフトウェアの品質や透明性やイノベーションを高めることができます。

1980年代に登場したオープンソースのプログラミング言語の代表例は以下の通りです。

  • Python :1991年にグイド・ヴァンロッサムによって開発された高水準言語です。オープンソースのスクリプト言語であり、シンプルで読みやすい文法を持つ言語です。現在では、AIやデータ分析などでも使われています。

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  • Ruby :1995年にまつもとゆきひろによって開発された高水準言語です。オープンソースのスクリプト言語であり、多様性や表現力を重視した言語です。現在では、Webアプリケーションやスクリプティングなどでも使われています。

1990年代:新世紀へ

1990年代は、Webとオープンソースがさらに発展する時代でした。この時代には、新しいプログラミングパラダイムや技術が登場しました。

1990年代に登場したプログラミングパラダイムや技術の代表例は以下の通りです。

  • XML :1998年にW3Cによって策定されたマークアップ言語です。HTMLと同じくタグを使って文書を記述しますが、タグの種類や構造を自由に定義できることが特徴です。XMLは、データの交換や保存や表示などに使われています。
  • Aspect-Oriented Programming :1997年にグレゴール・キチャレスらによって提唱されたプログラミングパラダイムです。オブジェクト指向プログラミングを拡張し、横断的な関心事(ロギングやセキュリティなど)を分離して扱うことができることが特徴です。AspectJやSpring Frameworkなどがこのパラダイムを採用しています。
  • .NET Framework :2002年にマイクロソフトによって開発されたソフトウェア開発プラットフォームです。C#やVisual Basic.NETなどの言語で開発したアプリケーションを、仮想マシン上で動作させることができることが特徴です。.NET Frameworkは、WindowsやWebやモバイルなどのアプリケーション開発に使われています。

2000年代:多言語時代

2000年代に入ると、プログラミング言語はさらに多様化しました。この時代には、既存の言語の改良や新しい言語の登場が相次ぎました。

2000年代に登場したプログラミング言語の代表例は以下の通りです。

  • C# :2000年にマイクロソフトによって開発された高水準言語です。C++やJavaを基にしたオブジェクト指向の汎用言語であり、.NET Framework上で動作することが特徴です。C#は、WindowsやWebやモバイルなどのアプリケーション開発に使われています。
  • PHP5 :2004年にPHPグループによって開発された高水準言語です。PHP4から大幅に改良されたオープンソースのスクリプト言語であり、オブジェクト指向や例外処理などの機能が強化されたことが特徴です。PHP5は、Webサーバ上で動的なWebページを生成することができる言語です。
  • Ruby on Rails :2004年にデビッド・ハイネマイヤー・ハンソンによって開発されたWebアプリケーションフレームワークです。Rubyをベースにしたオープンソースのフレームワークであり、コンベンションオーバーコンフィグレーションやドントリピートユアセルフなどの原則に基づいて設計されたことが特徴です。Ruby on Railsは、高速かつ簡単にWebアプリケーションを開発することができるフレームワークです。
  • Python3 :2008年にグイド・ヴァンロッサムらによって開発された高水準言語です。Python2から大幅に改良されたオープンソースのスクリプト言語であり、文字列の扱いや文法などの機能が変更されたことが特徴です。Python3は、AIやデータ分析などでも使われています。

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2010年代:クラウドとモバイル

2010年代は、クラウドとモバイルが主流になる時代でした。クラウドとは、インターネット上でソフトウェアやデータなどのリソースを提供するシステムです。クラウドは、コストやスケーラビリティやセキュリティなどの面で利点があります。モバイルとは、スマートフォンやタブレットなどの携帯端末で利用できるシステムです。モバイルは、場所や時間を問わずに情報やサービスにアクセスできることが利点です。

2010年代に登場したプログラミング言語や技術の代表例は以下の通りです。

  • HTML5 :2014年にW3Cによって策定されたマークアップ言語です。HTML4から大幅に改良された言語であり、動画や音声などのメディア要素やキャンバスや地理位置情報などの新しい要素が追加されたことが特徴です。HTML5は、Webブラウザ上でリッチなWebページを表示することができる言語です。
  • Swift :2014年にアップルによって開発された高水準言語です。Objective-Cを基にしたオブジェクト指向の汎用言語であり、安全性やパフォーマンスや表現力が高いことが特徴です。Swiftは、iOSやmacOSなどのアプリケーション開発に使われています。
  • Go :2009年にグーグルによって開発された高水準言語です。C言語を基にした手続き型の汎用言語であり、並行処理やガベージコレクションなどの機能が備わっていることが特徴です。Goは、システム開発やWeb開発などに使われています。
  • Node.js :2009年にライアン・ダールによって開発されたソフトウェアプラットフォームです。JavaScriptをベースにしたオープンソースのプラットフォームであり、非同期I/Oやイベント駆動などの機能が備わっていることが特徴です。Node.jsは、Webサーバやデスクトップアプリケーションなどの開発に使われています。

まとめ

この記事では、プログラミング言語の歴史を時代ごとに紹介しました。プログラミング言語は、コンピュータの進化や社会のニーズに応じて変化してきました。現在では、さまざまな目的や特徴を持つ多種多様なプログラミング言語が存在します。プログラミング言語の歴史を知ることで、プログラミング言語の特徴や背景や関係性を理解することができます。また、プログラミング言語の歴史を知ることで、自分に合ったプログラミング言語を選択することができます。

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